受託開発からプロダクトまでソリューションを提供
御社の事業内容についてご紹介ください。
当社は、1970年(昭和45年)6月汎用系・業務系システム開発およびシステム運用を中心とした情報サービス企業として創立されました。中でも移動体通信分野は早くから当社事業の柱として、自動車電話から携帯電話、スマートフォンのソフトウェア開発、移動無線基地局などのモバイルインフラの開発を行ってきました。
現在は、上記に加え、車載システムや医療システムの組込開発、官庁・自治体向けや金融系のソフトウェア開発、一般企業様向けの業務システム開発などの受託開発を行っています。また、今まで培ってきた技術・ノウハウを集約し、プロダクト製品開発にも着手しております。その中で、医用画像ソリューションである「L-Share」は、「医療系のメーカーの受託開発を30年以上行なってきたノウハウを製品化できないか?」と、7年ほど前から始めたシリーズです。
医療規格DICOMに対応したIoTソリューション
どんなプロダクトを開発されたのですか?
ダブレットのビューアーなど、まずは、得意分野のソフト開発から始めました。
医療系には、DICOMという医療画像と通信の規格があります。インターネットが出てくる前からある規格で、一般的には知られていないのですが、世界中の医療業界では標準の規格です。DICOM対応ソフトウェアの「L-Shareライブラリー」を、CTや超音波などの機械に組み込むと、お客様はDICOMを利用するための開発費用を削減することができます。
病院内では、医療用画像管理システムのPACSサーバに巨大な画像データを保管していますが、そのサーバの機能を手軽に持ち運び可能なサイズにした「L-SharepPACS」をその後開発しました。また、セキュリティ上の問題で、機器をインターネットに繋げられないため、院内システムの時刻が微妙にずれることへの解決策として、GPSから時刻データを取って合わせる「L-Share TimeServer」を開発しました。その様に、少しずつソリューションを増やしていきました。
「L-Shareビューアー」は、旭川医科大学の沖崎先生と開発したビューアーの進化版で、今年の4月から販売を開始しました。全身のガンを一気に検査できるPETCTの画像を鮮明にしたり、ガンになりやすい値(SUV)が出ているところを素早く検知したりできます。
また、「検診車で撮影したデータをルーターで飛ばして、PACSに保存したい」というニーズがあったので、2年ほど前から開発したのが「L-Shareルーター」です。それにRoute7を採用しています。
撮影データが、検診車からリアルタイムに病院へ
Route7はどのように活用されていますか?
Route7のSIMを、USBでL-Shareルーターに差し込んで使っています。病院と検診車にL-Shareルーターを設置し、検診車で撮影したデータをRoute7を使って転送して、病院内でもリアルタイムに撮影画像を見られるという仕組みです。通常のルーターの機能に、DICOM通信を加え、画像転送部分には帯域を有効に利用するため独自通信仕様となっています。
検診車は、1箇所で100人、200人と撮影して、複数箇所回って病院に戻れない時は、CDに保存して別のノートPCや宅急便で送ったりしています。L-Share Routerがあれば、そのような手順を省略して転送できます。
ビューアーは、パソコン版とタブレット版を用意していますが、パソコン版については薬機認可番号を取得した厚生労働省で認められたものを用意しています。また、画像が鮮明にできる機能と、レポート時間が短縮できる機能(PET-CTでの使用時)では特許を使っているので、この特徴を活かし拡販していきたいと思います。
画像を読む専門の読影医は数が限られているので、遠方で撮った画像をCDで送って、健診施設の読影医が診断するということがあります。L-Share Routerなら、撮ったその場からすぐに送れるので、時間や手間を省けて便利にご利用できるかと思います。
またPET-CTの場合は、PET-CTを持っている中核病院と、かかりつけ医院にL-Shareルーターを設置してもらえれば、撮影は中核病院で行い、かかりつけ医に画像を送って診断してもらうこともできます。今後は遠隔読影も増えてくるでしょうし、離島などでも活用して欲しいです。
スピードが落ちないのが、画像転送には最適!
Route7を選んだ理由は何ですか?
一番良いと思ったのはスピードが落ちないことです。CTは画像が重く一枚514Kあります。上から下まで100枚ものスライス画像を撮ることや、高画質で一枚10MB、20MBになるものもあります。
それだけ大容量なので、「1日3GB以上は通信速度が遅くなる」などの制限があると仕事にならないのです。Route7は容量制限がなく、スピードが落ちないのが大きなアドバンテージですね。プランも色々希望を言って、カスタマイズしてもらいました。
通信状況はMy Routeマネージャーを見ると把握でき、容量が足りなくなりそうな時は、「増やしたほうが良い」と、お客様にアドバイスできます。こんなサービスをしている会社はないんじゃないでしょうか。一度他のモバイル系サービス会社へ相談したこともありますが、Route7のようなサービスはないです。Route7が、私たちの事業には最適だと思い選びました。
L-Share Routerの機能はwebで設定できますので、インターネットルーター感覚ですぐに使えます。VPNを使っているので、ルーター同士であればデータは暗号化され、セキュリティもある程度担保しています。
このL-Share Routerのシステムは、パッケージとしては他にないものですし、あったとしてもかなり高額になってしまうと思います。
今後はどのような展開を考えていますか?
以前は、「在宅での画像読影には病院と同じ施設が必要」という規制があったのですが、規制緩和されました。遠隔読影の導入に向けての環境が整ってきたと思います。
子育てなどで病院を離職した読影医さんでも、L-Share Routerなら自宅で読影することもできます。働き方改革としても活用できるかもしれません。高齢者が増えてくるのに医者の数が足りない、これからの時代に最適ではないかと思います。
また、読影作業では間違いが出ないよう、一次読影、二次読影と、何人かの医師で診て、最後にマスターのお医者様が診断する方法を採ることもあるようです。これらの方法とオンライン診療とを組み合わせて、展開していくと医師不足を解決する手段としてと面白いと思います。
株式会社アイ・エス・ビー
所在地 本社 東京都品川区大崎5-1-11 住友生命五反田ビル
設立 1970年(昭和45年)6月
URL http://www.isb.co.jp
取扱品目・事業内容
モバイル・医療・車載等の組込みソフトウェア開発
モバイル機器等の検証
基幹システム構築におけるソフトウェア開発(官公庁、金融、通信、運輸向け)
データセンターサービス(ハウジング、ホスティング)
クラウド等のインフラ構築・運用設計および運用保守サービス
システムオペレーションサービス 業務プロダクト(パッケージ)の開発・販売
システム、ソフトウェア開発に付随した機器の販売
出入管理システム、電気錠、テンキー等の製造、販売および保守